VPNpi は Raspberry Pi を使った多目的VPNサーバーです。VPNpi をLAN内に置くだけで既存ルーターの変更なしにVPN接続できます。VPNpi を使えばVPN機能付きの監視カメラやファイルサーバーを簡単に利用することができます。(更新情報や操作Tips等はブログ記事もご参照下さい)
ここでは USBストレージやカメラの接続と本体ハードウエアの性能について説明します。
1) USBストレージの接続
VPNpi は USBストレージ(USB接続ハードディスク、USBメモリー等)を接続すると自動的にマウントし samba で共有(ファイル共有フォルダ名「 nas 」に接続)するようにセットアップされています。自動マウントの際、以下の2つのフォルダが(存在しなければ)作成されます。
・ minidlna : DLNAサーバーに配信させる動画や写真、音楽を置きます。
・ transmission : BitTorrentクライアント Transmission がファイルを保存します。
また、USBストレージには設定ファイルのバックアップが毎週土曜日の4時半に保存されます。( sd-backup.tgz 、 sd-backup-1.tgz の2世代保存)
ファイルサーバーとして利用する場合、USBストレージは NTFS (Windows標準)フォーマットを推奨します。 ExFAT、HFSは共有から読めますが書き込みはできません。FAT32 はそれに加えて日本語が化けます。ext4 は所有権管理にLinux側での操作が必要になり面倒です。※ 市販のUSB接続HDD等はFAT32でフォーマットされているものも多いので、使う前にWindowsでフォーマットして下さい。
なによりNTFSであればサーバーにトラブルがあった場合でもWindowsマシンに接続すれば読めるので安心です。※ USBハードディスクは管理画面でシステムを停止してから取り外して下さい。停止せずに取り外すとデータが壊れることがあります。
※ USBストレージはセルフパワーの外付けHDDを推奨します。USBメモリーでも問題ありません。
※ バスパワーのUSBポータブルHDDは電力不足で動作しないことが多いのでお勧めできません。
2) USBカメラの接続
VPNpi には Webカメラを接続すると動体検知し録画する監視カメラ機能 motion がセットアップしてあります。録画データは当日分に加えて前日、前々日の3日分を保持しす。記録サイズは VGA (640x480) か QVGA (320x240) を選択できます。
Webカメラに必要な機能は UVC (USB Video Class) 対応であることぐらいです。VGAサイズですので 100万画素あれば十分です。ただし、カメラによって色々癖があるようです。
用途的にディスプレイ直前の顔にフォーカスを最適化しているため遠方のフォーカスが甘いモノもあります。個体差があるかもしれませんが、iBUFFALOで130万画素の機種がその類でした。
オートフォーカスもダメです。ELECOMの200万画素機を試しましたがこのクラスのAFでは遅すぎて動体検知記録には不向きです。
デモ画面 で使用している機種(上の画像参照)は ELECOMの200万画素Webカメラ UCAM-C0220FBNシリーズ です。固定焦点ですが被写体深度も実用範囲、ボールジョイントでカメラの向きが自由になるのでディスプレイのような固定物に引っかけても撮影範囲を調整しやすいのがお勧めポイントです。
3)本体性能について( Raspberry Pi B+ と Pi 2 B の比較 )
LAN内でファイルサーバーとして利用している Pi 2 B では大きなファイルをコピーする場合には安定して 11.3MB/sec の速度が出ています(下図)。100BASEイーサ( 100Mbps = 12.5MB/sec )の実効速度ほぼ上限でしょう。一方の Pi B+ では同じ条件で5.6MB/sec 程度。ファイル転送速度は Pi 2 B のちょうど半分になります。
VPN通信の場合はインターネット側の影響で速度が変動します。Pi 2 B の場合、早朝など条件が良ければ 7MB/sec近く出ます。スループット 50Mbps以上です。下図は下記参考資料の環境で SoftEtherクライアント+ VPNAzure 利用の実測値です。
一方の Pi B+ の速度は条件が良くても 2MB/sec程度が上限のようです。
監視カメラとして使用する場合、撮影画像が QVGA (320x240) サイズであれば Pi B+ でも実用になりますが、VGA (640x480) サイズになると Pi B+ では秒間4コマ程度しか撮影できません。
以上の比較から VPNpi には Raspberry Pi 2 B を使用する方が良いでしょう。ボードの価格差以上の性能差があります。もちろん Pi B+ も使えないわけではない( LAN内で 5MB/sec = 40Mbps 出ていれば DLNAサーバーには十分です)ので用途を考慮して選んで下さい。
参考資料:Windows PC の VPN クライアント別 速度比較
L2TP/IPsec (OS標準)の場合
2015.12.9 11:20
SoftEther VPN Client ( VPNAzure 利用)の場合
2015.12.9 11:16
測定環境
拠点1 回線: io光 100M、 ルーター: ELECOM WRC-733GHBK、
サーバー: Raspberry Pi2 B + VPNpi
拠点2 回線: Flets光 100M、 ルーター: YAMAHA RT57i
クライアント: Core 2 Q9450 + Windows 10